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精神神経科・こころの発達診療部における男女共同参画の取り組み

精神神経科 助教
精神神経科 講師(医局長)
こころの発達診療部 准教授
精神神経科 教授
  石井礼花
神出誠一郎
金生由紀子
笠井清登
 

精神神経科・こころの発達診療部は、女性メンタルヘルスという分野や、児童精神医学の思春期の女児患者への対応など、女性医師に活躍していただくことに大きな意味がある分野がたくさんあります。現在、日本精神神経科学会の中で女性の占める割合は25%となっております。しかし、学会の評議員の中で女性の割合は3%、理事にいたっては0%となっており、女性医師が活躍する環境としては、まだこれからの分野ともいえます。

精神神経科の医局員の中で、女性は医師だけでなく多くの職種がいらっしゃり、そのうち女性の占める割合は48%で多いのですが、常勤医の中では23.5%となっています。内閣府男女共同参画局では、男女共同参画社会の実現に向け、「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標を設定しており、当科でもさらに努力が必要と考えられます。結婚、妊娠、出産、育児は女性のみならず男性にとっても大きなライフイベントであり、最近は「イクメン」が増え、男性の家庭への参加率も上がってきたようです。しかし、妊娠、出産は女性しか担えず、またその後の育児も依然として女性が担うことが多く、女性医師が妊娠、出産を契機にキャリアプランを大きく変更したり、離職したりせざるを得ないことは大変残念なことです。

男女共同参画において、大事な3つのポイントがあるといわれ(精神神経科学会における村木厚子さんの講演より)、まず、トップ(本組織では教授)の意識、次に、仕事の枠組みとやりがいの設定、そして、ポジティブアクションが大切だといわれております(内閣府男女共同参画HPより)。

まず、本教室のトップである笠井教授は、以前より、女性医師の活躍を考慮した取り組みをおこなってきました。2010年には、精神科の医局付近に女性スタッフ休憩室をつくり、また、同年から医局の忘年会、新人歓迎会において託児サービスを整えました。

つぎの仕事の枠組みとやりがいの設定についてですが、これは非常に難しい問題といえます。当科では、医局会を16時30分〜17時に設定、また、産休、育休からの復帰後の慣らし保育中の仕事時間の短縮(慣らし保育は育休明けでないとできないため)や、産休育休復帰後しばらくは日当直を行わなくてもよいように配慮しています。例えば、日当直を行わない代わりに、土曜日の研究におけるDuty業務に参加してもらうなど、本人のキャリアプランや希望に沿って、まわりの負担と本人の負担とのバランスを考慮しながら業務内容を相談しています。

また、女性医師は、キャリアを優先せざるを得ず、妊娠を先延ばしになってしまうことがあります。妊娠しにくい状況になってしまい不妊治療を行うこともあるため、当科では、不妊治療を行う場合に仕事と両立できるように配慮しております。実際、2名の常勤医師が不妊治療と仕事を両立し出産後、復職しました。(従業員が希望する妊娠・出産を実現するために:厚労省HP

ポジティブアクションですが、こころの発達診療部のトップである金生准教授はじめ、女性医師が活躍しており、女性医師がキャリアアップしていける環境づくりに取り組んでおります。

今後も我々は女性医師にとって魅力ある職場づくりに取り組むために、これからも女性医師の声を汲んで、さらに改革していきたいと思います。女性医師にとって働きやすい職場は、男性医師にも働きやすい職場づくりにもつながると考え、今後も努力を続けてまいります。

(2014年8月)

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