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女性診療科・産科/女性外科における男女共同参画の取り組み

女性診療科・産科/女性外科
医局長 堀越嗣博

女性診療科・産科/女性外科(以下、産婦人科)は、その名の通り、女性を対象にした疾患を扱う部署です。女性特有の疾患には、男性には分からない、また知られたくない疾患が数多くあります。特に婦人科疾患では、婦人科良性疾患・炎症性疾患から子宮癌、卵巣癌まで、他科の疾患に比べて若年から中年層の患者が多く、この年代が安心して受診できるような環境を整えることが重要と思われます。女性医師に活躍していただくことは、同姓の医師に診療を受けることによる患者の安心感の増大や恥ずかしさの軽減という点でも、大きな意味があります。

当科における女性医師数は、1996年以降女性が男性を上回り、近年では60〜70%が女性医師で占められています。しかし、女性医師の場合、医師個人のライフサイクルの中で結婚・妊娠・出産・育児が大きなウェイトを占めます。近年、日本でも『イクメン』なる言葉が取りあげられ、男性の家事への参加が広まりつつありますが、多くの場合、やはり中心は妻であり母である女性になっています。女性医師も多分に漏れず同様の環境にあり、妊娠・出産を契機に離職せざるを得ないことが多く見受けられます。特に産婦人科では、分娩を取り扱うために当直・on call業務があり、これも妊娠・出産・育児をこなしている女医の復職にとって大きな障害になっております。当科では、現在助教以上の女性医師数はおよそ25%です。どの診療科でも同じ課題を持っていると思われますが、産婦人科領域では女性医師数が多く、そのニーズも大きい分、問題は深刻です。

そこで、当科では、2003年に医学部特任助教というポストを新設していただきました。このポストは助教でありながら、当直をしなくてもよい(当直料が支給されないため、結果的に当直をしない)ポストです。定時での始業・終業を行えるので非常に好評です。また経験年数から助教クラスに該当しない若手女性医師には、病院診療医という、当直・on call業務を回避できるポストもあります。また、育児休暇も、本人の希望通りにとっていただいております。最終的には、我々の職場を取り巻く保育環境の改善こそが、女性医師の離職を防ぐ最大の特効薬だと思われますが、復職することが女性医師にとって大いに魅力あるような環境を作ることも我々の仕事と思います。

(2013年7月)

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