エッセイ・事例紹介

トップページ >> エッセイ >> 医学系キャリア支援に参加して

医学系キャリア支援に参加して

女性診療科・産科/女性外科
助教 松本陽子

 このたび、男女共同参画委員会よりエッセイ投稿のご依頼を頂きまして大変恐縮しております。正直何を書くべきか迷いますが、拙いエッセイでも誰かの少しの励みになればと願っています。まずは自己紹介をいたします。私は平成12年に本学を卒業後、東大産婦人科に入局しました。医学部学生時代(M3)、23歳で同級生と結婚しております。大学病院や関連病院で3年研修を行い、4年目より大学院に進学、同時に専門として悪性腫瘍(婦人科癌)を希望しました。大学院在籍2年目(医師5年目)で長女、翌年次女を出産しました。学位を取得後は関連病院、がん専門病院(埼玉がんセンター)、東大病院で勤務しています。非常勤勤務を希望しなかったので、今まで何とか常勤医や助教として勤務を続けています。子供達も小学生になりました。医局の先生がたのサポートに日々感謝すると共に、後輩へつないでいきたいと思っています。

 「共働きで子育ての悩み」は医師に限らずどんな職業でも同じだと、保育園や小学校の他の保護者を見て感じました。社会全体がまだ模索中のように見えます。職種によらず子育て・仕事両立の基本姿勢は毎日の送迎と食事(特に夕食)、当直時や緊急時にどうするかによって4分類されると思います。

祖父母や第三者(シッターさん等)にメインで見てもらう。キャリアはほとんど影響を受けない。妻が専業主婦またはそれに近い男性によく見られる働き方を含む。
自分とパートナー、祖父母、第三者などを何とかやりくりして乗り切る。キャリアはやや犠牲になる(常勤だが、パワーセーブを要する)。
自分(とパートナー)、祖父母、第三者などを何とかやりくりして乗り切るが、基本は自分。キャリアは犠牲になる(非常勤もしくはそれに近いレベル。当直が出来ない等も含む)。
メインは自分。キャリアは大きく犠牲になる(外来だけ、もしくはバイトなど)。

当然キャリアの充実度と子育ての充実度は反比例します。私自身は②ですが、これはどれが良いとか、どれを目指すべき、とかではなく、個人や家庭の価値観、環境により個々が選択すべきです。

 東大病院の女性診療科産科・女性外科(産婦人科)には、近年は毎年20人ほどの入局者がありますが、その6-7割が女性医師です。女性を扱う科ですので女性医師のニーズは高く、また専門分野も多岐にわたるのでやりがいのある診療科であると思います。一方当直の多さや忙しさが前提のようになっているため、妊娠出産のタイミングや将来の勤務形態について悩む医師は今後いっそう増えると想定されます。本来このような悩みは女性に限ったことではなく、子育て中の男性も、健康に不安を抱える人も、親の介護をしている人も同じです。両立支援とは、いろいろな要望に合わせた、不公平感の少ないキャリア形成パターンを多く用意することなのかなと感じています。プライベートと仕事を、人生の時々で多様なバランスをとって乗り切ることを許されない職場はいずれ敬遠され淘汰されます。東大病院の職員が自分に合った働き方を見つけられる制度づくりに少しでも協力できたら大変光栄です。

ページトップへ