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眼科における男女共同参画の取り組み

眼科・視覚矯正科 医局長
白矢智靖

日本眼科学会の医師会員のうち女性が占める割合は約40%であり、以前から眼科は女性医師が多い分野であるとされています。当教室でも入局後10年の女性の割合が47.1%、過去5年間の入局者で46.2%と、例年女性医師の入局割合が高い傾向にあります。眼科領域は人口の高齢化とともに、白内障手術を始めとする眼科手術件数は年々増加し、眼科医療の進歩によって、より重症の患者や難治性の疾患への対応、ならびに治療の選択肢が増え、さらに眼科医師へのニーズも増加傾向にあるなかで、当教室の充実と発展にはさらなる女性医師の活躍が欠かせない状況になってきていると考えられます。

ただ、多くの女性医師にとって妊娠や出産、その後の育児は自身や家族の人生において重要な時期であり、医師としてのキャリアを継続することが難しくなってしまうこともあります。職場復帰をするうえで育児施設や家族のサポートが必須ですが、それが必ずしも期待できるものではありませんし、育児と仕事の両立を全うするあまりに心身ともに疲弊してしまうことは避けなければなりません。

前述のとおり当教室は女性医師が多く、子育てをしながら勤務している医師も複数名おり、女性医師同士での育児の苦労や楽しみを共有することもできます。当教室としましても日頃よりコミュニケーションを取り合うことができる風通しのよい医局を目指しています。また、女性医師が妊娠、出産後にも無理のない範囲でキャリアを継続できるように勤務体制の配慮や工夫をしております。妊娠や出産直後の夜間当直は免除し、その代わりに他の医師の負担を減らす為に、日中の勤務時間内に行うことができる業務を割当ています。その他保育園への送り迎えなど時間的な制約がある場合には、医局会やカンファレンスも免除し、さらにスケジュール調整によって時間的にゆとりをもたせることで、病棟診察も自身の適切な時間に行うことができるようにしています。眼科は外科系の側面をもっており、臨時手術や夜間の手術を行うこともありますが、臨時手術患者の担当は他の医師がサポートします。

近年、女性だけでなく男性も育児の参加を積極的に行う動きがみられます。子供の成長を見守ることは父親として掛け替えのないものだと思います。男女共同参画の取り組みを通じて、男女ともに医師としての技術向上やキャリアを損なうことなく、業務を効率化して働きやすい体制や環境を整えていきたいと考えています。

最近では眼科を志望する女性医師から、当教室の産休や育休後の体制について問い合わせが来るようになりました。子育てと眼科医師としてのキャリアを両立させたいとの切実な思いと受けてとれます。引き続き我々としても最大限のバックアップが出来るように努力を続けていきます。また、性別に関わらず医師としてお互いを尊重しあう人間関係を構築できる環境づくりも、教室として重要な使命と考えています。

(2016年8月)

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