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男女共同参画活動に対して思うこと

大学院医学系研究科国際保健学専攻発達医科学教室
助教 高梨 さやか

 男女共同参画委員会より、昨年の医学系キャリア支援のための交流会での講演に引き続いて、この度はエッセイ執筆の機会を頂戴し、大変恐縮するとともに同委員会の諸先生方に深く感謝申し上げます。私は、平成12年に千葉大学医学部を卒業後、東京大学小児科に入局し、大学病院や関連病院で5年間の研修を行った後、小児感染症学を専門として大学院に進学、学位取得後3年間の米国留学を経て、平成24年より現在の発達医科学教室に勤務しております。大学院3年目で男児を授かり、米国では博士研究員をしながらの育児も経験させていただきました。

 日米の子育て環境の相違に思いを致すとき、まず強く想起されるのは、米国では「仕事以外の面の充実が仕事へ好循環をもたらすという概念が男女無関係に共有されている」ということです。男性も育児参加については勿論、教会ボランティア活動や、地元のスポーツクラブへの貢献など、オープンに話しており、人間としての成熟度がある人が尊敬を集めていました。こうした中で、仕事以外に子育てママという側面を持つ、という状況が特殊感少なく受け入れられやすい印象を受けました。日本の最近の子育て支援は、24時間保育や病児保育など、仕事中心の生活をディフォルトとして、如何にそこに近づけるか、という手段・ハード面での整備を急いでいるように見受けられます。勿論ハード面の充実は、様々なオプションを提供するという意味において非常に重要で、私自身も留学前・帰国後ともに何回も病児保育を利用させていただいて、助かった思いもあります。しかし、これらは文化・ソフト面での成熟がない状況下では、子供に対しての罪悪感を惹起して両立を妨げてしまう恐れのある物であることも事実だと思います。日本においても、プライベートと仕事を個々人の価値観・人生のステージに応じてバランスを取ることを許容する成熟した社会が、充実したハード面と合わせて、両輪の輪のように求められると思います。こうした社会の成熟は一朝一夕には成り立たないからこそ、有休取得率などの目に見えやすい数値目標設定と合わせて、男女ともに参加する共同参画を考える交流会や家族ぐるみのイベント企画など、地道な活動による意識改革が大切になってくるのだと考えます。

 留学より戻ってからは、国際保健学専攻発達医科学教室のスタッフとして、世界各国からの留学生・卒業生との共同研究、学部学生の教育活動に加え、東大小児科の同門の先生方との診療業務や母子保健活動など、非常にやりがいを感じつつ仕事をさせていただいております。東大病院に入院した重症感染症の症例検討を通じた若い研修医の先生方との討議にも、大いに刺激を受けています。今年4月で医師として15年目、歩みはゆっくりでも、様々な土地でその時々に出会ったメンターに励まされながら、そして家族の温かい理解を得ながら仕事を続けていられることに、深い感謝の念を覚えています。次世代を育てながら生き生きと責任を持って働くことが、これからに続く医師・研究者の背中を押すことに繋がると信じて、日々精進していきたいと思っております。  

               
(2014年1月)

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