男女共同参画委員会について

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委員長のメッセージ

ご挨拶

  男女共同参画委員会・委員長
吉川雅英

本委員会は2008年に清水孝雄元医学部長によって設立されましたので、2021年時点で13年という事になります。

この13年の間に「東京大学に入った女性」への支援は、少しずつ整備されてきました。学内・学外に数多くの保育園が整備され、一時言われていたような保育園の大幅な不足は解消されてきている様に感じます。病児保育、女性休養室、医学系キャリア支援のための交流会、なども定着してきました。また、医師の働き方改革についても検討が進み、2024年4月からは、医師の時間外労働の上限規制が適用されることになっています。まだまだ、解決すべき問題はあるにせよ、制度上は男女の「機会」均等は進歩しているように思います。

一方、東京大学に入学する学生に対する女性の比率は、近年は20%前後で推移し大きな変化はありません。この大きな原因は、入試における選抜ではなく、一般入試の志願者に占める女子の割合が20%で推移していることが大きな原因と考えられます。同様に、医学部の女性教員も、職位が上がるにつれ少なくなる傾向はあまり変わっていませんが、これも候補になる人の中に女性が少ないのです。言い方をかえると、多くの女性に「入口に立って貰う」事さえ出来ていないのです。なぜ、多くの女性には、入口に立って貰えないのでしょうか?

私自身は、2001年から6年足らず助教授として米国にいましたが、今でも、その当時、東京大学から自分のテキサス大学の研究室に来ていた大学院生(女性)の言っていたことが印象に残っています。「日本では、何か、窮屈で居心地が悪かった。」と。他にも日本を飛び出して頑張っている女性を数多く見てきて、私自身も、日本には、「標準」から外れた人、特に、女性に対して、冷たく接する傾向があるのではないか? と感じています。それは、あからさまな差別ではないのですが、何気ない時に発せられる(女性なのだから)そんなに頑張らなくても、無理しなくても、といった、親や友人、更には本人の心に隠された「潜在的偏見」(「無意識のバイアス」とも表現されます)に因るものです。一方で、東京大学・医学部の目標とする「生命科学・医学・医療の分野の発展に寄与し、国際的指導者になる人材」には、これまでの常識にとらわれない発想をする、つまり「標準」から外れた、人材が欠かせません。

従って、本委員会委員長を拝命するにあたり、制度上の機会均等という、ある意味、当然すべきことを実行しながら、制度だけでは簡単には変えることのできない人々の「潜在的偏見」を少しでも良い方向に変え、男女にかかわらず、だれもが「入口に立とう」と思えるような活動がこの委員会で出来ればと考えています。

(2021年4月)

前委員長からのメッセージ(平成25年4月)
元委員長からのメッセージ(平成23年7月)
元委員長からのメッセージ(平成22年4月)

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