男女共同参画委員会について

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前医学系研究科長のメッセージ

医学系研究科での男女共同参画推進にあたり

東京大学大学院医学系研究科長・医学部長 
齊藤延人 

2019年度の東京大学入学式における来賓の上野千鶴子氏の祝辞はインパクトがありました。「東大においても性差別は例外ではない」と言うのです。東大入学者の女性比率が依然として2割の壁を越えず、女性教授の数は7.8%、これまで女性の総長がいないことを問題とされていました。そもそも東大受験に漕ぎつける割合が少ないことが社会における性差別の結果であるとし、そのなかでも勝ち抜いてきた女子学生達は優秀だから本来もっと合格者の比率が高くなるはずだとの論を展開されました。

東大の受験生の男女比と合格者の男女比がほぼ同じなので、東大の入試は公平に行われていると単純に考えていたのですが、それだけでは不十分で、意識に登ってこない、しかしながら社会の中に潜在する差別の問題があることに気づかされました。この課題については、私たちが当然できているだろうと思っていることでも、よくよく思いを巡らせてみないと、現実が見えてこないということだと思われます。

入試ばかりでなく教員の採用状況においても、医学系研究科の講師以上の総数179名(平成31年4月現在)のうち、女性教授は3名、准教授は11名、講師は7名で、約12%とまだまだ低い状況です。医学系研究科においても引き続き検討を続け、改善を測る必要があります。西洋ばかりでなく、アジアの大学の先生と話をしていても、大学における女性の参画は進んでおり、その点では日本は後進国と言わざるを得ません。

1999年に男女共同参画社会基本法が制定されて以来、東京大学では2008年に男女共同参画加速のための宣言を発表し、医学系研究科でも2008年に男女共同参画委員会を立ち上げ、活動を展開しています。このホームページや、課題を抽出するためのアンケート調査、毎年恒例となった「医学系キャリア支援のための交流会」を開催してきました。アンケート結果は2010年の女性休養室の設置に繋がりました。病院では既に2007年に職員のための「いちょう保育園」を設置していましたが、2015年に病児・病後児保育室「ひよこケアルーム」も開設しました。また、2018年には医学図書館1階の場所を提供して、事業所内保育所の「ポピンズナーサリースクール東大本郷さくら」を開設しました。さらに病院では産休育休後の復帰のためのポストとして病院診療医を設けています。

男女共同参画の用語そのものが、すでに差別的であるとのご意見もあります。ちょうど今年から働き方改革関連法が施行され、両立支援や働き方支援がますます求められる転機が来ています。医学系研究科でも、まだまだ改善の必要があるのは明白です。教職員が活躍できるよう働きやすい環境作りに皆さんとともに取り組んで行きたいと思います。

(2019年4月)

岡部繁男 前医学系研究科長からのご挨拶(2021年4月)
齊藤延人 元医学系研究科長からのご挨拶(2019年4月)
宮園浩平 元医学系研究科長からのご挨拶(平成23年7月)
清水孝雄 元医学系研究科長からのご挨拶(平成22年4月)

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